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猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染性腹膜炎とは、感染した猫腸コロナウイルスが猫の体内で突然変異したものです。
猫腸コロナウイルス自体は、普通の健康な猫にはほとんど影響はないそうですが、子猫や
老猫のように免疫力が低い猫に発症するケースがあるようです。

症状にウェットタイプとドライタイプがあるそうですが、ルナ子はウェットタイプの腹膜炎でした。

ルナ子は生後10ヶ月程度で我が家にやってきました。小さな子でした。
譲渡会で引き取りを決めた子で、元々は野良です。善意の方に保護されて面倒をみてもらっていました。
我が家に来てからは他の猫との接触もなく完全室内飼いでしたので、猫腸コロナウイルスに
感染したのは子猫の時と思われます。
病歴と経過

致命的な症状の現れ

治療

獣医師所見

葬儀とその後

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病歴と経過
引き取った当初からくしゃみや鼻水、よく風邪を引く子でした。
寒いと「ぷしゅん、ぷしゅん」よくしていました。
寒い日は体を冷やさないように布団や電気毛布を用意し、暑い季節にはバテないように
ひんやりマットを設置するなど、できる範囲でルナ子の体を気遣いました。

2011年9月
右目の涙目がひどくなり、病院へ(初診)
体重:3.18kg
体温:40.0°
処方:クロマイ点眼、インターフェロン点眼
医師所見:ヘルペスウイルス感染の可能性が高い
診察結果:全身状態良好

2011年11月
嘔吐、下痢が3日程続き、げっそりしてしまったので病院へ
体重:2.8kg
体温:
治療:皮下点滴、抗生剤、制酸剤の注射
医師所見:脱水症状あり、心音、肺音は良好
    腸の動きが緩慢になっている、腹部圧痛なし、粘膜色良好
治療の様子:点滴や注射を大人しく受ける、声をかけるとか細い声で「ふにぃ」と
    応える
血液検査の結果:総タンパクの上昇(脱水)、アミラーゼの上昇(胃腸の不調)、
    肝機能、腎機能とも異常なし
経過:診察後キャリーバッグの中でごそごそ動く
    家に着いたらてててっとすばしっこく走り回り、ゴハンを要求
    連日続いた嘔吐や下痢も止まり経過は良好

※この時期からゴハンの好き嫌いがエスカレート、猫草への執着が強くなる
※2012年2月頃〜嘔吐、下痢の日が多くなる、ドライフードの摂取量が少し減る
※2012年3月頃〜下痢が毎日のように続いたが、フードを変えたら少し改善された
※体調が良い日もあり、衰弱する一方というわけではなかった

2012年4月
体調が良い日を待って、昨年12月から延期していた3種ワクチンを接種
体重:2.58kg
体温:38.5°
処方:3種混合ワクチン接種
医師所見:一般状態は良好、下痢が続いているので後日糞便検査の実施と
    体重が減少しているので2ヶ月後に体重計測の実施を推奨される
治療の様子:注射の際に獣医師たちに「ガブするわよ!」と威嚇するも押さえ
    込まれて観念する
経過:家に着いたらすね子に変身するも、しばらくすると「ゴハン〜」と寄ってきた
    下痢はあったが様子に変わりなく経過は良好

※4月末に糞便検査を実施、結果は異常なし

なぜワクチン接種を4ヶ月も延期したのか?
11月に体調を崩し治療後の経過は良かったものの、相変わらず「ぷしゅん、ぷしゅん」と
くしゃみをし、連日ではなくとも嘔吐や下痢をする日もありました。
冬の時期はルナ子の体に負担になるのではないか、暖かくなってから接種したほうが
いいのではないかと夫と話し合い、ふたりで決めたことでした。
結果として、このワクチン接種はルナ子にとって良かったのか悪かったのか…判断は
つきません。

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致命的な症状の現れ
ルナ子が亡くなる前日夜9時頃、お気に入りの布団で最初のお漏らしをしました。
今思えば腹水が漏れ出していたのだと思いますが、この時点で私は伝染性腹膜炎という病気
があること自体知りませんでしたので、お腹を冷やして下痢がひどくなったのだと思い様子を
みていました。

普段あまり座らない別の布団に移動し丸くなっているルナ子を見つけて、声をかけ撫でました
が特に異変は感じませんでした。しいて言えば、お腹の調子が悪いからそっけないのだろうと
思った程度でした。

その後居間で液状の嘔吐物を発見しました。(別の場所に固形の嘔吐物がありました。)
その時ルナ子は居間のクッションで丸くなっていましたので、体にブランケットをかけました。

最初のお漏らしから2時間程経過し、今度は寝室のハンガーラックの陰で寝そべっている
ルナ子を見つけて声をかけました。
普段からよくそこで寝ていましたし、声をかけたら返事をしましたので、まだこの段階では
それほど心配していませんでした。

さらに1時間程経過した頃に、ハンガーラックの陰で寝そべっているルナ子に再び声をかけ顔を
触ってみたところ、私の手が何かで濡れました。おかしいと思い、ルナ子の手を触ってみたら、
涎か何かで口から手まで濡れていて、そして体温が下がっていました。
慌ててルナ子を抱っこし、布団に寝かせようとした時に、体から大量の液体が漏れ出しました。

ぐったりと横たわるルナ子に毛布をかけ、声をかけながら、夫婦で手足を擦り続けました。
若干手足は温まったものの、脈が弱まっていて、目を見開いた状態でした。
ほとんど反応がみられない状況で、一度だけ、ルナ子の手を握っていた私の手を、ぎゅっと
握り返してくれました。

そして、緊急診療センターに連れていくことにしました。
深夜1時前でした。

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治療
病院に到着し、診察台に乗せられたルナ子は手足の毛を刈られ、器具を取り付けられました。
尋常ではない処置に、助からないかもしれない・・・そう思いました。
これまでの病歴、経過についてはカルテを提示し、最近の様子などを獣医師に説明しましたが
獣医師はルナ子の衰弱した様子から、非常に厳しい状態だと告げました。

一旦私たちは診察室から退室させられました。
どの位の時間だったかは記憶にありませんが、そう長くはなかったと思います。
獣医師が診察室から出てきて、ルナ子の心拍が止まったと私たちに告げました。
私たちは再び診察室に通されました。
蘇生処置を行うかどうか、仮に蘇生が成功した場合でも、意識が戻る可能性は高くないとの
説明を受けました。
私には決断できませんでしたので、夫に一任しました。
夫は「(可能性があるなら)一度だけ蘇生を行ってください」と獣医師にお願いしました。

蘇生処置を行い、奇跡的に、心拍、呼吸が戻りました。
しかし、人工呼吸器を付けた状態でも心拍、呼吸とも安定せず、自力では困難な状態でした。

これ以上、小さな体のルナ子を苦しめるわけにはいきませんでした。
夫婦で話し合い、人工呼吸器を外してもらうことにしました。

最期は、獣医師の計らいで、私の膝の上にルナ子を抱かせてもらいました。
よく頑張ったと、今までありがとうとルナ子に声をかけて、体を撫で続けました。
荒い呼吸や悲鳴をあげることもなく、午前2時12分、ルナ子は静かに眠りにつきました。

診察:レントゲン撮影実施、血液検査はできず
治療:静脈点滴(〜500ml)、静脈投与(カットダウン留置針経由)
薬剤:ボスミン 1A、ドプラム 1ml、バソプレシン 1A、リドカイン2% 1A
蘇生処置:心肺蘇生(マッサージ含む)、気管挿管、人工呼吸器使用

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獣医師所見
獣医師からは、レントゲンを確認したところ、胃や腸には何も映らず、水のようなものが大きく
膨らんで見える、体はだいぶ痩せていたし、液状のものが体から漏れ出してぐったりと衰弱
した経緯から、血液検査ができなかったので100%断言できないが、原因は伝染性腹膜炎
の可能性が極めて高いと告げられました。
連れて帰る前にルナ子の体をきれいにしてもらった際にも、体から水のようなものが大量に
出てきたそうで、伝染性腹膜炎でおそらく間違いないだろうとの所見でした。

いつ病気を発症したのかはわかりませんが、ルナ子の場合は、発症後の経過が緩やかで、
大きな痛みはなかったのだと思います。
亡くなる前日の夕方までは、体を触っても、お腹を撫でても嫌がるそぶりもなく、「ごろごろ、
ごろごろ」と喉を鳴らしていました。食事もねだって食べていました。
5月頃からのルナ子は寝てる時間が長くなりました。
少しずつ減っていった食事の量は急には増えないだろうと思いましたが、「ゴハン食べないと
病院に連れていくよー」と声をかけると必死に食べるルナ子の姿に、当然心配はありました。
少しずつでも食べているルナ子を見て、これからの季節、夏バテになったら体が持たないかも
しれない…栄養剤の投与の時期を見計らっていた矢先でした。
亡くなる直前は全盛期の半分も食べていなかったかもしれません。
痩せてはいましたが、毛艶は良く、口臭も悪くなく、下痢もしばらくありませんでしたので、
少しずつ体調が良くなってきているものとばかり思っていました。
考えが甘かったと後悔しています。

伝染性腹膜炎という病気を事前に知っていたら、もっと注意深くルナ子の様子をみていたかも
しれません。
かかりつけの診察結果を楽観視せずに病気を疑いレントゲンを撮ってもらったかもしれません。
もっと早く発見できていれば、もう少し長生きさせてあげられたかもしれません。
叶わないことですが、もっとできることがあったんじゃないかと考えずにはいられないのです。

伝染性腹膜炎が治らない病気ではなく、できるだけ早く、治療が確立され、治る病気になる
ことを切に祈っています。

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葬儀とその後
ルナ子のお骨を手元に遺したいという思いもありましたが、夫が「ルナ子はうちに来る前は
仲間たちと一緒に暮らしてたんだから、(火葬は)お友だちと一緒のほうがルナ子は不安なく
幸せだよ」と言葉をかけてくれたので、合同葬儀を選びました。
葬儀をお願いしたお寺では、1年間祭壇を設けてくれ、その後永代供養してくれます。
少し開いていた眼は朝までにもう少しだけ閉じました。
ただ眠っているようでした。
ルナ子のお供に、大好きだったネズミのおもちゃなどを
捧げました。
葬儀屋さんへの引き渡しまで、何度も話しかけて体を
撫でました。
葬儀が無事に終わったとの通知を頂いて最初の週末に、ルナ子に会いに行ってきました。
ここに納められている子たちは皆、生前それぞれの家族に愛されて暮らしてきた子たちです。
それぞれの家族が持ち寄った写真やフード、お花などでいっぱいでした。
ルナ子に挨拶し、お骨入れを撫で撫でして「また来るね」と声をかけてその日は帰りました。

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